線形代数 ベクトル空間

今回は線形代数を学んでいくうえで多くの人がつまずく「ベクトル空間」について説明していきたいと思います。なるべくわかりやすさを重視して説明していくので是非参考にしてみて下さい!

ベクトル空間とは?

これまで行列などの成分個々をどういうふうに扱うかを考えていきました。ですが、その数をどういう数全体の中で考えているかについては考慮していませんでした。なのでここでは扱う数全体の振る舞いについて考えていきます。

m次の列ベクトル全体についてベクトルの和とスカラー倍の2つの演算が定義される。ここでVはベクトルの集合、Rは実数の集合を表しています。

$$ \boldsymbol { u}+ \boldsymbol {v} \quad ( \boldsymbol {u}, \boldsymbol {v} \in V)$$

$$a \boldsymbol {u} \quad ( \boldsymbol {u} \in V, \ a \in \boldsymbol {R})$$

これは「行列同士の足し算は各列ベクトル同士を足し合わせたもの」、「行列にスカラー倍をかけたものは各列ベクトルにスカラー倍したものと等しい」ということを言っています。つまり下に示した定義が成り立ちます。

$$\begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}+\begin{bmatrix} e & f \\ g & h \end{bmatrix}=\begin{bmatrix} a+e & b+f \\ c+g & d+h \end{bmatrix}\quad ベクトルの和$$

$$\begin{bmatrix} ka & kb \\ kc & kd \end{bmatrix}=k\begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}\quad ベクトルのスカラー倍$$

このように集合Vについて上に示した2つが定義されているとき、VをR上のベクトル空間といい、Vの要素をベクトルといいます。

ベクトル空間の例

実数を成分とするn次の列ベクトル全体をNとします。

$$N= \lbrace \boldsymbol {a} = \begin{bmatrix} a_1 \\ a_2 \\\ldots\\a_n \end{bmatrix} \quad a_1,a_2,\dots,a_n \in \boldsymbol{R} \rbrace $$

このNは行列としての和とスカラー倍が定義されている。この行列を見てみると行列の要素が実数の集合Rの一部であることが右の帰属関係からわかります。

このことからNはR上のベクトル空間といえる。

部分空間とは?

次にベクトル空間の内容で重要な「部分空間」について説明していきます。

ベクトル空間Vの部分集合をWとする。このときWがVの和とスカラー倍によってベクトル空間となるとき、WをVの部分空間という。

このWがVの部分空間である必要十分条件は、

  1. $$ \quad \boldsymbol{0} \in W$$
  2. $$ \quad \boldsymbol{u},\ \boldsymbol{v} \in W \quad ならば \quad \boldsymbol{u}+ \boldsymbol{u} \in W$$
  3. $$\quad \boldsymbol{u} \in W , c \in \boldsymbol{R} ならばc\boldsymbol{u}\in W$$

となります。このままではとても抽象的で分かりにくいですよね。なので例題を用いて説明していきます。

例題1

例題としてAがm×n行列のとき、下に示したWがRのベクトル空間であることを示していきます。

$$W= \lbrace \boldsymbol{x} \in \boldsymbol{R} | A \boldsymbol{x} = \boldsymbol{0} \rbrace $$

さきほど示した3つの条件を当てはめていきましょう。

(1)$$A \boldsymbol{0} = \boldsymbol{0} \quad なので、 \boldsymbol{0} \in Wである。$$

(2)$$ \boldsymbol{x,y} \in Wとすると、A( \boldsymbol{x} + \boldsymbol{y})=A \boldsymbol{x} + A \boldsymbol{y} = \boldsymbol{0}+ \boldsymbol{0} = \boldsymbol{0} $$

(3)$$ \boldsymbol{x} \in W,c \in \boldsymbol{R}とすると、A(c \boldsymbol{x} )=c(A \boldsymbol{x} ) =c \boldsymbol{0} = \boldsymbol{0} \quad よってc \boldsymbol{x}=W $$

これにより、3つの条件が満たされたのでWはRの部分空間であることが示されました。

ですが、まだ抽象的なため、さらに具体化していきましょう。

例題2

$$\begin{eqnarray}W = \left[ x\in R^3 |\begin{cases} 2x_1+3x_2-x_3=0 \\ 5x_1+6x_2-2x_3=0 \end{cases} \right] \end{eqnarray}$$

上に示したWが部分空間になるかどうかを確かめていきます。

(1)$$A=\begin{bmatrix} 2 & 3 & -1 \\ 1 & -2 & 3 \end{bmatrix} \quad とおくと$$

$$W=\lbrace \boldsymbol{x} \in R^3|A \boldsymbol{x} = \boldsymbol{0} \rbrace$$

と書くことができる。このとき例題1と同じ形となるためこのWは部分空間であるといえる。

部分空間の条件を満たさない場合

逆に、部分空間でない場合の問題を考えていく。

$$\begin{eqnarray}W = \left[ x\in R^3 |\begin{cases} 2x_1+3x_2-x_3=5 \\ 5x_1+6x_2-2x_3=4 \end{cases} \right] \end{eqnarray}$$

先ほどの方程式の左辺が0でない場合を考えていく。先ほどと同様に解いていくと、

$$W=\lbrace \boldsymbol{x} \in R^3|A \boldsymbol{x} = \boldsymbol{k} \rbrace$$

$$ \boldsymbol{k} = \begin{bmatrix} 5 \\ 4 \end{bmatrix} $$

とあらわされ、$$A \boldsymbol{x} \neq \boldsymbol{0} $$

となる。これより(1)の条件が成り立たないためWは部分空間ではない。

次に、変数を1次以外のものにしてみる。

$$\begin{eqnarray}W = \left[ x\in R^3 |\begin{cases} 2x_1^2+3x_2^2-x_3^2=0 \\ 5x_1^2+6x_2^2-2x_3^2=0 \end{cases} \right] \end{eqnarray}$$

$$まず最初に条件(1)を考えてみると、各xが0のとき両辺が0となるため\boldsymbol{0} \in Wといえる。$$

$$次に条件(2)について考えていきます。\boldsymbol{x,y} \in Wとしたとき、先ほどと違って変数が2次なので$$

$$A( \boldsymbol{x+y})^2=A \boldsymbol{x}^2+2 \boldsymbol{xy} + \boldsymbol{y}^2= \boldsymbol{0}+ 2 \boldsymbol{xy} + \boldsymbol{0} \neq \boldsymbol{0}$$

$$となって条件(2)を満たしません。よってWは部分空間ではないといえる。$$

以上のことを踏まえると、部分空間である条件は具体的には

  1. 定数項が0
  2. 変数の次数が1である。

であるといえます。テスト問題などを解く際にはこの条件を意識して解答していけば解けると思います。

まとめ

今回は線形代数を学ぶ上でつまづきやすいベクトル空間について説明しました。このベクトル空間は抽象度が高くわかりずらい内容となっているため具体的な例題を解きながら条件をかみ砕いて説明したことで少しはわかりやすくなっていると思います。もしわかりずらい部分がありましたら下のコメント欄のほうで質問してください!

東京農工大電気電子工学科所属の大学生 趣味:ショッピング、スノボ、映画鑑賞 大学の情報と学んだ知識をアウトプットしていきます!
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