線形代数 2.簡約化とは?

今回は行列の簡約化について説明していこうと思います。行列の簡約化というと線形代数の授業では序盤のほうで習うと思います。自分の経験からするとこのあたりから線形代数がわかりずらくなってくると思います。また、今回説明する簡約化という作業は線形代数ではかなり使うことになるのでぜひこのページを参考にして簡約化をマスターしてみて下さい。

導入:行の主成分とは?

例として下の連立方程式で考えてみる。

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y +2z= 10 \\ 2x + 4y +5z= 32 \end{array} \right. \end{eqnarray}$$

この連立方程式を行列を用いて表すと

$$ \begin{eqnarray} \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 2 & 4 & 5 \end{bmatrix}\begin{bmatrix} x\\y\\z \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 10\\32 \end{bmatrix}\end{eqnarray} $$

となります。この行列を拡大係数行列であらわすと、

$$\begin{eqnarray} \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 2 & 2 & 10 \\ 2 & 4 & 5 & 32 \end{array} \right) \end{eqnarray}$$

となります。ここでこの行列に行の基本変形を行うことを考えます。このとき以下に示した条件を満たす行列を「簡約な行列」といいます。

  • 1.行ベクトルのうち零ベクトルがある場合は零ベクトルでないものより下にある。
  • 2.零ベクトルでない行ベクトルの0でない最初の成分は1である。
  • 3.各行の0でない最初の成分は下に行くほど右にある。
  • 4.各行の0でない最初の成分の列ではほかの成分が0である。

このとき条件2,3,4で示した「零ベクトルでない行ベクトルの0でない最初の成分」をその行の主成分といいます。

この条件はそのままではわかりずらいので例を使って簡単に説明していきます。

各条件の適用

条件1: 行ベクトルのうち零ベクトルがある場合は零ベクトルでないものより下にある。

$$ \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\0&0&0\\ 2 & 4 & 5 \end{bmatrix} $$

この行列について、1の条件を考えてみます。1の条件では行について零ベクトルは零ベクトルでないものより下に配置するとなっています。これはつまり「行について0ベクトルのものは一番下の行に配置する」ということです。実際に行列に条件1を適用してみると

$$ \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 2 & 4 & 5 \\0&0&0 \end{bmatrix} $$

のように2行目と3行目を入れ替えることで満たすことができます。

条件2: 零ベクトルでない行ベクトルの0でない最初の成分は1である。

次に条件2について考えていきます。条件2では主成分が1であるということを言っています。これはつまり「各行において一番初めに出てくる0以外の数字が1である」ということを言っています。実際に条件2を適用していきます。(第2行目に第1行目を(-2)倍したものを足す)

$$ \begin{eqnarray}\begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 2 & 4 & 5 \\ 0&0&0 \end{bmatrix}\rightarrow \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 1 \\0&0&0 \end{bmatrix}\end{eqnarray} $$

条件2を適用した行列を見ると一番左に現れる最初の0 以外の数が1 となっていることがわかります。

条件3: 各行の0でない最初の成分は下に行くほど右にある。

次に条件3について考えていきます。

条件3は「条件2を満たす行列において主成分が下の行ほど右にある」ということを言っています。先ほどの行列を見てみましょう。

$$ \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 1 \\0&0&0 \end{bmatrix} $$

この行列を見ると1行目と2行目について、2行目の主成分が1行目の主成分の列より右にあることがわかります。このことからこの行列は条件3を満たしていると言えます。

条件4: 各行の0でない最初の成分の列ではほかの成分が0である。

最後に条件4について考えていきます。条件4では「各行の主成分がある列のほかの成分がすべて0である」ということを言っています。先ほどの行列で考えていきます。

$$ \begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 1 \\0&0&0 \end{bmatrix} $$

第1行の主成分について考えてみます。この主成分について列ベクトルを見てみると第1列が主成分以外すべて0であることがわかります。このことから第1行目の主成分については条件を満たしています。

次に第2行目の主成分を見てみます。第2行目の主成分は第4列にあることがわかります。この第4列を見てみると第1列目において’2’となっています。そのため条件を満たすために変形を行っていきます。(第1行目に第2行目を(-1)倍したものを足す)

$$ \begin{eqnarray}\begin{bmatrix} 1 & 2 & 2 \\ 0 & 0 & 1 \\0&0&0 \end{bmatrix}\rightarrow \begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\0&0&0 \end{bmatrix}\end{eqnarray} $$

これにより各主成分について条件4が満たされました。以上の条件4つを満たした行列を「簡約な行列」といいます。

簡約化した行列の特徴

この簡約化を実際に行って何が良いのかわからない方も多いと思います。実際僕自身も大学の授業で習ったときはさっぱり意味が分かりませんでした。ですが簡約化の特徴として大きく2点あげられます。それは

  • 行列の簡約化は唯一1通りに決まる
  • 行列の階数(rank)は簡約化した行列の主成分がある列の個数と等しい

ということです。一つ目の特徴としてあげた「行列の簡約化は唯一1通りに決まる」というのは”どのような手順で行列の基本変形を行っても簡約な行列はただ一つに決まる」ということです。なのでテストなどではこの簡約化が出やすくなります。また2つ目の特徴については線形代数の中ではかなり重要なものとなっています。この行列の階数というのは連立方程式の解が存在する条件や後半で習うベクトル空間といったところで出てくるため覚えておくと後々苦労しなくなります。

まとめ

今回は線形代数を学ぶ上で基礎となる「行列の簡約化」について説明しました。この簡約化は線形代数を学ぶ際にとても使うことになるのでぜひ練習問題なども解きながらマスターしていってください!!

東京農工大電気電子工学科所属の大学生 趣味:ショッピング、スノボ、映画鑑賞 大学の情報と学んだ知識をアウトプットしていきます!
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